
浄土真宗は一宗派の名前ではありません。人類に捧げる教えの名前です。その教えの始まりは2500年以上前から脈々と伝わってきた仏教であり、仏教は苦悩から始まります。ですから、苦悩しない人には仏教は関係ない教えとなります。その苦悩とは仏教では病気に例えられています。 ブッダは、重い病に全ての人は悩み苦しんでいるとおっしゃっています。その病を阿弥陀さまの妙薬で救って下さるのです。
病といっても、肉体の病ではありません。 心の病です。 日本人なら、戦争の頃は、芋のつるを食べて飢えを凌いでいたのが、 経済大国になって、食べものに困ることもなくなりました。 科学が進歩して技術大国になり、 昔はできなかったことが色々できるようになりました。 携帯電話で遠くの人と話ができるようになったり、 昔は手紙が2〜3日かかったのが、 電子メールは瞬時に届きます。 インターネットで、道路地図も、 電車の時刻表もすぐに分かるようになりました。
そのように、経済が豊かになって、科学が進歩しましたが、 幸せになれたでしょうか? 自殺者は増えて、毎年約2万人から約3万5千人が自ら命を絶っています。 みんな、こんなに苦しいのは、 お金がないからだとか、 結婚していないからだとか、 地位がないからだと思って、 お金や結婚、地位、その他色々なものを求めています。 ところが、お金のない人も苦しんでいますが、 お金のある人も苦しんでいます。 結婚していない人も苦しんでいますが、 結婚している人も苦しんでいます。 地位の低い人も苦しんでいますが、 地位の高い人も苦しんでいます。 その他のものも同じことです。 それはなぜでしょうか? 心が病にかかっているからです。 熱があるとき、何を食べてもおいしくありません。 それは、食べ物のせいではありません。熱のせいです。 熱がなくなれば、梅干し一つでご飯が美味しく食べられます。 科学や経済が悪いのではなく、 問題は心の病にあるのです。 全人類は自覚がないのですが、 苦悩の根元を知らない限り、どんなに科学が進歩しても、 幸せになれません。
『願入寺』は、そんな心の病で苦しんでいる人々の少しでも助けと支えになって参りたいと日々精進しております。


