先日、靴下を履こうとしゃがんだら、「ビリッ!!」
と、パンツが破けた…
貧富の根拠
「財少なくも、足るを知る者はこれ富なり。財多きも、足るを知らざる者はこれ貧な
り。貧富の根拠は、軍竟精神的なものなり」(清沢満之)
歯科医のNさんは開業する前、東京浅草の山谷で二年程、治療に従事したことがあった。場所柄、患者のほとんどは日雇い労働者であった。何日かかかって一人の患者の治療を終わった時、その患者はお礼だと言って新聞紙に包んだ物を持ってきた。中には真新しいパンツが十枚入っていた。Nさんはその理由を尋ねた。
「われわれ日雇い労働者にとって、パンツは一番大事な物です。裸では仕事ができない。このパンツ一枚あれば、今日一日働けます。このパンツは今日一日、私の生命を支えてくれるかけがえのない大事な物なんです」
彼はそう答えたという。その言葉に、Nさんは「大きな驚きと感動を覚えた」と私に話してくれた。彼は何よりも大事な物を医者に贈ることによって、治療してもらったことへの感謝を表したのである。
この挿話は、ある意味で現代人が見失っている世界を、そして本当の意味で富むということはどういうことかを示唆していないだろうか。
人間は限りない欲求を満たし続けた。だが、現代という豊かさの中で、いかなる充足と落ち着きと安らぎを獲得したであろうか。
「る処に余の楽なし。ただ熱魔の声を聞く」。今から千三百年程前の中国の善導大師の言葉であるが、何もかもが満たされた現代社会においても、人の集まるところから聞こえてくるのは、いよいよ愁嘆の声ばかりではないか。「満たされたものの不満ほど処理しにくいものはないわな」とつぶやいたのはだれだったろうか。
「ないものをほしがらんで、あるものを喜ばしてもらおうよのう」。何の肩書もない田舎のお年寄りの言葉であるという。
心にとどめて、深く味わうべき言葉である。
「生命の見える時」松本梶丸より
ダイエットしなきゃ…
南無阿弥陀仏