「浄土へ生まれるいのち」

お彼岸の時節となりました。

「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、春の彼岸が近づくと寒かった冬も終わり、暖かい春が訪れます。

寒暖だけのことではありません。お彼岸は西に沈む太陽の先に浄土を感じ、浄土へ還った故人を偲び、私も浄土に迎えられる身にあることを想う「到彼岸」と言う仏教行事でもあります。

「到彼岸」とは、こちらの岸である此岸(苦しみの娑婆世界)から仏様の岸である彼岸(悟りの世界)へ阿弥陀様の願いで救われていくことを聞かせていただく仏事でもあり、如来様の本願に抱かれている身の有難さを喜ばせていただく時期でもあります。

寒い寒いと言っていても、やがて夏がやってきます。

暑い暑いと言っていても、夏は終わり、また寒い冬が訪れます。

「一月は行く、二月は逃げる、三月は去る。」と言われます。

ついこの間、除夜の鐘を突いて新年を迎えたばかりなのに、はやお彼岸です。

一年はあっという間に過ぎ、人の一生もあっという間に過ぎ去ります。

まさに人の一生は「諸行無常(刻々と変化し続ける)」です。

しかし、無常のいのちが、如来様のはたらきに出会ったことによって、浄土へ生まれるいのちと変わるのです。

もはやむなしく終わらぬ人生、これが浄土真宗の教えなのです。

南無阿弥陀仏